颯爽と街を走る車の映像とリンクする、サバプロの丸裸な魅力

文 / 秋摩竜太郎

いい曲のことは何度だって語りたい、ということで今回はSurvive Said The Prophetの「Right and Left」について。そう、Honda「シャトル」のCMに起用されているあの曲だ。収録作は2018年9月にリリースされたアルバム「s p a c e [ s ]」。同CMを見ると、イントロで鳴る軽快なギターアルペジオが指のニュアンスまで伝わるほど丸裸。R&Bにも通じるダンサブルなニュアンスがあり、颯爽と街を走る車の映像と見事にリンクしている。レンジも音圧も一気にブーストされるサビは、さながらアクセルを踏んだ瞬間の高揚感か。それにしてもSuchmosしかり、SIRUPしかり、Hondaさんはシャレた聴き心地の楽曲がお好みなんですね。

で、本曲をきっかけにこのバンドを知った人には、できればその全体像も正しく知ってほしい。というのも、音楽性が実に多彩だからだ。軸となるのはエモ。簡単に言うとすごい叫んでる感じのやつ。詳しく言うと暗く重いマイナーコードを強調した響きに、動きのあるメロディを乗せたもの。たまに胸がギュッとなるほど切ない旋律も鳴ってたりして、我々日本人の本質にマッチするジャンルだ。あとは、激しいけど明るい曲調、ポップパンク風なもの、バラードなどいろんな引き出しがあり、ひと言でまとめると「ロックバンド」ということになる。でも、だからこそ枷がなく、どこへだって行けるのだ。世界制覇という彼らの野望も、夢物語なんかじゃないとマジで思える。そして何より人間として魅力的。いつまでもお互いにキャッキャ言い合えるようなメンバーの関係性は、見ているこちらも楽しくなるし、どこまでも追いかけたくなる（ライブでのプレイにそれが出ているのもまたいい）。この5人、ライブハウスから生まれたニューヒーローとして、メインストリームを覆すことだろう。