Coming Next Artists シーズン2

Mii「"HIME"」

2019年5月22日発売 / 日本クラウン

愛される新時代の姫キャラ

文 / 猪又孝

Miiと書いて「ミイ」と読む。かつて隣人が飼っていた猫の名前が奇しくも「ミイ」だったが、昨年7月にソロデビューした彼女の1stミニアルバム「"HIME"」を聴いて、いろんな表情を見せる猫の姿が浮かんだ。

幕開けを飾る「ベスティー #一生仲間」は、2017年に青山テルマが発表し、SNSを中心にダンス動画が拡散された「一生仲間」のフックを引用したリメイク曲。街のいろんな場所に繰り出してテルマたちが楽しく踊る原曲のミュージックビデオの印象も手伝ってか、この曲からはかわいらしいストレイキャットを想起してしまう。“ベスティー(Bestie)”とは親友というより心友に近い意味のスラング。とにかくフックがキャッチーで口ずさみたくなるし、途中に出てくる「go go go hey」という掛け声もニャーニャー騒がしい猫たちのようで抜群に愛くるしい。

続く「What You Say」は清水翔太が書き下ろしたトロピカルハウス仕立てのソロデビュー曲。少しラテンの香りが漂うところや、「全部気分次第」な女の子の恋の駆け引きを描いたリリックが、猫の妖艶な魅力とリンクする。かと思えば、失恋バラードの「キー ケース」ではしっとりとした歌声を披露。傷心した胸の内を表現する様は、寂しそうにトボトボ歩くの猫のようだ。そうしたナイーブな面に引き込まれていると、スティーヴィー・ワンダーの1973年産クラシック「Don't You Worry 'Bout A Thing」のカバーでは、低くて太い声から一気にキュートなハイトーンまで駆け上がるフェイクを決めてくるから驚き。さらに「YOUTH」ではUSのトレンドを押さえたチルなTrapを聞かせ、「Go Shawty」ではラップに挑戦し、ガールズパワー全開で弾けてみせる。

ラスト曲「"HIME"」では、エッジの効いたビートに乗せ「人の目なんて気にしない」「けどほっとかれるのもちょっと嫌い」と自らの性格をオープン。「流されてもダサいし、いばってても意味ない」「けど自分じゃなきゃ出来ないし、今を生きるしかない」と理想の生き方を歌い、そんな自分を「I'm SO HIME」と力強く宣言する。

姫と聞くとワガママで奔放なイメージもあるが、美しさと強さを兼ね備えた芯の強い女性も浮かぶ。猫もまたそういう姫気質がある生き物だと思う。7曲入りの本作で、クルクル変わる猫の目のようにさまざまな表情を見せるMiiは、まさに姫キャラ。猫好きの多い日本で、Miiは新時代の姫として愛される存在になるだろう。

Mii「"HIME"」

Mii「"HIME"」

[CD+DVD] 2500円
CRCP-40580

Amazon.co.jp

CD収録曲
  1. ベスティー #一生仲間
  2. What You Say
  3. YOUTH
  4. キー ケース
  5. Go Shawty
  6. Don't You Worry 'Bout A Thing
  7. "HIME"
DVD収録内容
  • ベスティー #一生仲間(Music Clip)
  • ベスティー #一生仲間(Making Clip)
各サブスクリプションサービスで、Mii「"HIME"」を聴く
Mii(ミイ)
Mii
1996年生まれ兵庫県出身のフィメールアーティスト。3歳から大阪のスクールで歌とダンスを習い始め、スクール時代に出会った幼なじみ同士でダンスボーカルユニット・Dancing Dollsを結成。2012年9月にメジャーデビューし、シングル7枚をリリースした。2018年7月には清水翔太の提供曲「What You Say」でソロデビューを果たす。2019年5月にミニアルバム「"HIME"」をリリース。

2019年6月6日更新